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レリーフで表現する立体感

2023.07.08 彫刻の基礎知識
レリーフで表現する立体感

この記事では、彫刻の一種であるレリーフについて、その特徴や制作について具体的に説明していきます。 レリーフとは、木材などの素材を彫り込んだ立体的な彫刻のことで、コインやアクセサリーなどにもよく見られます。 レリーフは、通常の丸もの彫刻と違い、「限定的な角度から立体的に見えるように浮き出させて制作する」という絵画的な側面を持ちます。今回は木彫によるレリーフについて解説していきます。

木彫レリーフ

レリーフで表現する立体感

レリーフには、浅浮彫り(バスレリーフ)と深浮彫り(オートレリーフ)の2種類があります。浅浮彫りは、背景から少し浮き上がった形で表現されるもので、深浮彫りは、背景からかなり浮き上がった形で表現されるものです。浅浮彫りは、背景との境界が明確でなく、深浮彫りは、背景との境界が明確です。浅浮彫りは、光と影の効果で立体感を出すことが重要で、深浮彫りは、形そのもので立体感を出すことが重要です。

レリーフは、立体的な形を作ることはもちろんですが、平面的な構図やバランスも考える必要があります。レリーフは、壁や台などに飾られることが多いので、視点や角度によって見え方が変わります。そのため、どこから見ても美しく見えるように工夫することが大切です。

木彫レリーフの道具

木材

ホオ、カツラ、ヒノキなどの比較的柔らかくて彫りやすい木材がおすすめです。厚みは10mm程度で、大きさは作品に合わせて選びます。

彫刻刀

平刀、切り出し刀、丸刀などの種類やサイズを揃えます。幅15mm程度の平刀と、幅10mm・3mmの切出刀が一本ずつあれば大体の形はできます。

砥石

彫刻刀を研ぐために必要です。水砥石やダイヤモンド砥石などがあります。

絵具

水彩絵具やアクリル絵具などを使って着色します。木の質感を生かす透明色の絵具がおすすめです。

その他

作業板、アームライト、紙やすり、ニスなど。

木彫レリーフの作り方

  1. 木材の状態チェック木材の傷や色の違いを確認し、木を使う向きを決めます。 輪切りにしたときの外側部分(辺材)と中心に近い部分(心材)とで色が異なる場合は、大事な部分には心材が多く入るように取ります。

  2. 鉛筆で下描き彫りたい形を鉛筆で描きます。背景も含めてきちんと描きます。

  3. 輪郭の切り立て太い切出刀を使い、残したい部分の外側の輪郭に沿って切り込みを入れます。 このとき、できるだけ木の表面に対して垂直に刻みを入れるように注意しましょう。目鼻やあごのラインなどは後回しです。

  4. 周囲を彫り下げる輪郭線を刻んだら、残したい部分の外側を窪ませます。さっきよりも小さめの切出刀の方が抵抗が少ないので楽です。 手前にある部分から順番に彫っていきます。

  5. 輪郭の角を彫る残したい部分の輪郭にある角度を調整します。形が立ち上がる角度はとても重要です。 丸刀や浅丸刀を使って、角度をつけたり、丸みを出したりします。

  6. 各部を彫り進める目鼻やあごのラインなど、細かい部分を彫っていきます。丸刀や浅丸刀を使って、形や質感を出します。

  7. 仕上げ紙やすりなどを使って表面を滑らかにします。

木彫レリーフの注意点

道具を使い分ける

彫っていく順番と、どの彫刻刀を使うかが大切です。手前から順番に彫っていくことで、作業がスムーズに進みます。 また、適切な種類やサイズの彫刻刀を使うことで、形や質感がよく出ます。

影を作る意識をする

彫っているものの質感など、イメージを描きながら刀を入れていくことが重要です。 レリーフは光と影の効果で立体感が出ることも多いので、光源や視点も考慮しながら彫っていくことが大切です。

道具の特徴を理解する

切れ味の悪い彫刻刀では、木材に傷をつけたり、力が入りすぎてケガをしたりする可能性があります。 彫刻刀はこまめに研ぐことで、切れ味を保ちましょう。

木目に注意する

木彫の場合は木目に十分注意しましょう。節や順目ではない場合などは彫刻刀の刃先を遅らせたり、手首や指の動きも活用しましょう。

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