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芸術家ミケランジェロの作品

2023.06.15 ミケランジェロ
芸術家ミケランジェロの作品

ミケランジェロ・ブオナローティ(1475年-1564年)は、イタリア盛期ルネサンス期の彫刻家、画家、建築家、詩人です。西洋美術史上のあらゆる分野で傑出した才能を発揮し、彫刻では『ダヴィデ像』や『ピエタ』、絵画ではシスティーナ礼拝堂の天井画や『最後の審判』、建築ではサン・ピエトロ大聖堂の設計など、数々の名作を残しました。この記事では、ミケランジェロが生涯を通して制作した作品の一覧と、その代表作について簡単に解説します。

作品一覧 代表作

作品一覧

ミケランジェロが制作した作品は、彫刻、絵画、建築の3つの分野に分けられます。以下の表は、それぞれの分野で公開されている作品の一覧です。

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  • 作品名制作時期
  • 階段の聖母1489-1492
  • ファウヌスの仮面1489-1494
  • ケンタウロスの戦い1490-1494
  • キリスト磔刑像1492-1493
  • ヘラクレス1492-1493
  • 聖プロクルス1494
  • 聖ペトロニウス1494-1495年
  • 燭台を持つ天使1494-1495年
  • 若き洗礼者ヨハネ1495-1496年
  • キューピッド1496-1497年
  • バッカス像1496-1497年
  • ピエタ1498-1500年
  • ダヴィデ像1501-1504年
  • ブルッヘの聖母1501-1504年
  • 聖母子1503年頃
  • 聖パウロ1503-1504年
  • 聖ペテロ1503-1504年
  • 聖マタイ1506年
  • 反抗する奴隷1513-1516年
  • モーゼ像1513-1516年
  • 瀕死の奴隷1513-1516年
  • 十字架を持つキリスト1514-1516年
  • キリスト磔刑像 -フィレンツェのピエタ (未完成)1516年頃
  • ミネルヴァのキリスト1519-1520年
  • 目覚める奴隷1525-1530年頃
  • 奴隷アトラス1525-1530年頃
  • 若い奴隷1525-1530年頃
  • 髭の奴隷1525-1530年頃
  • ダヴィデ=アポロ1530年頃
  • しゃがんだ少年1530-1534年頃
  • 勝利の天才1532-1534年頃
  • ブルータス1539-1540年頃
  • ロンダニーニのピエタ(未完成)1552-1564
  • 聖アントニウスの苦悩1487-1488年
  • マンチェスターの聖母1497年頃
  • キリストの埋葬1500-1501年
  • カッシーナの戦い1504年
  • 聖家族1506年
  • システィーナ礼拝堂天井画1508-1512年
  • レダと白鳥1530年頃
  • ヴィーナスとキューピッド1532年頃
  • 最後の審判1536-1541年頃
  • サウルの改宗1542-1545年頃
  • 聖ペテロの殉教1546-1550年頃
  • 教皇ユリウス2世の霊廟1505-1545年
  • メディチ家礼拝堂1519-1545
  • ラウレンツィアーナ図書館1524-1534
  • カンピドリオ広場1536-1564
  • サン・ピエトロ大聖堂1546-1667
  • サンタ・マリア・デッリ・アンジェリ聖堂1563-1564年
  • ピア門1561-1565

代表作

ミケランジェロの作品の中でも代表的なものをいくつか紹介します。

ダヴィデ像

ダヴィデ像

ダヴィデ像は、高さ5.17メートルの大理石製の彫刻です。聖書に登場する羊飼いの少年ダヴィデが、ペリシテ族の巨人戦士ゴリアテに石を投げる前の姿を表現しています。ダヴィデは左手に投石器を持ち、右手に石を握りしめ、敵に向かって決意の表情を見せています。この作品は、ミケランジェロが23歳から26歳までの3年間をかけて制作しました。

ダヴィデ像は、フィレンツェ共和国の自由と勇気の象徴として、当初は市庁舎の前に設置されました。しかし、その美しさと重要性から、1873年にアカデミア美術館に移され、現在もそこで展示されています。市庁舎の前には、ダヴィデ像のレプリカが置かれています。

ダヴィデ像は、ミケランジェロの彫刻技術と芸術的感性の高さを示す傑作です。ダヴィデの筋肉や静脈、皮膚や髪の毛など、細部まで忠実に表現されており、生き生きとした人間性が感じられます。また、ダヴィデの顔や体の大きさや比率が不均等であることも特徴的です。これは、当時の彫刻家がよく用いた「コントラポスト」という技法であり、観る角度や距離によって印象が変わるように工夫されたものです。

ダヴィデ像

システィーナ礼拝堂天井画

システィーナ礼拝堂天井画

システィーナ礼拝堂天井画は、バチカンにあるシスティーナ礼拝堂の天井全体に描かれたフレスコ画です。天井画は9枚の中央パネルとその周囲の装飾からなります。中央パネルでは、旧約聖書の創世記から「天地創造」、「アダムとイヴ」、「ノアの方舟」など9つのエピソードが描かれています。周囲には預言者や巫女、祖先たちなどが配置されています。

システィーナ礼拝堂天井画は、当時の教皇ユリウス2世から依頼を受けたミケランジェロが1508年から1512年までの4年間をかけて制作しました。ミケランジェロは自分自身を「彫刻家」と考えており、絵画を得意としていませんでした。しかし、教皇から断ることができず、苦労しながらもこの壮大な作品を完成させました。

システィーナ礼拝堂天井画は、西洋美術史上最高傑作の一つとして広く称賛されています。ミケランジェロは人間や動物などを立体的に描くことで、空間や運動感を表現しました。また、色彩や光の効果も巧みに使って、神話的な雰囲気を醸し出しました。中央パネルの中でも特に有名なのが「アダムの創造」です。神とアダムの指先が触れそうで触れない瞬間を描いたこの場面は、人類の始まりという壮大なテーマを象徴しています。

システィーナ礼拝堂

最後の審判

最後の審判

最後の審判は、システィーナ礼拝堂の祭壇壁に描かれたフレスコ画です。この作品は、ミケランジェロが1536年から1541年までの5年間をかけて制作しました。この作品は、キリストが死者を裁くというキリスト教の終末観を表現しています。天国と地獄に分かれる人々の姿や、天使や悪魔の姿などが描かれています。

最後の審判は、ミケランジェロの絵画技術と芸術的表現力の成熟を示す作品です。ミケランジェロは約300人もの人物像を描き分け、それぞれに感情や個性を与えました。また、色彩や構図も工夫されており、画面全体に動きと緊張感が生まれています。

しかし、この作品は当時の教会から批判を受けました。理由は、人物像が裸であることや、キリストが若く美しい姿で描かれていることなどでした。そのため、後に別の画家によって一部の人物像に布が追加されたり、キリストの顔が変更されたりしました。

システィーナ礼拝堂

建築

ミケランジェロは建築家としても活躍しました。彼は主にフィレンツェやローマで建築プロジェクトに関わりました。以下に彼の代表的な建築作品を紹介します。

ラウレンツィアーナ図書館

ラウレンツィアーナ図書館

ラウレンツィアーナ図書館は、フィレンツェのサン・ロレンツォ聖堂に隣接する図書館です。この図書館は、メディチ家が収集した貴重な書籍や写本を保存するために建設されました。ミケランジェロは1523年から1559年までこの図書館の設計と監督を担当しました。

ラウレンツィアーナ図書館は、ミケランジェロの建築的な創造性と革新性を示す作品です。特に階段や読書室のデザインは、古典的な要素と現代的な要素を融合させたもので、当時の建築界に衝撃を与えました。階段は、曲線や凹凸を多用して動的な印象を与えます。読書室は、天井には木製の格子を配し、壁には円柱やニッチを配置してリズム感を出します。

メディチ家礼拝堂

メディチ家礼拝堂

メディチ家礼拝堂は、フィレンツェのサン・ロレンツォ聖堂に隣接する建物です。この建物は、メディチ家の墓所として建設されました。ミケランジェロは1520年から1534年までこの建物の設計と監督を担当しました。

メディチ家礼拝堂は、ミケランジェロの彫刻と建築の融合した作品です。彼は、メディチ家の二人の公爵の墓碑に対応する四つの彫刻を制作しました。それぞれ「昼」と「夜」、「暁」と「黄昏」を表す人物像です。これらの彫刻は、メディチ家の権力と栄光を象徴するとともに、人間の生と死の営みを表現しています。また、彼は建物全体に統一感と調和感を持たせるために、壁や天井にも装飾や模様を施しました。

メディチ家礼拝堂

サン・ピエトロ大聖堂

サン・ピエトロ大聖堂

サン・ピエトロ大聖堂は、バチカンにあるキリスト教最大の教会です。この教会は、聖ペテロの墓があるとされる場所に建設されました。ミケランジェロは1546年から1564年までこの教会の設計と監督を担当しました。

サン・ピエトロ大聖堂は、ミケランジェロが晩年に取り組んだ最大のプロジェクトです。彼は教会の中央部分に巨大な円形ドームを設計しました。このドームは高さ136メートル、直径42メートルで、当時の技術では不可能と思われていたものでした。しかし、ミケランジェロは独自の工夫でこのドームを実現しました。彼はドーム内部に二重構造を採用し、外側と内側にそれぞれリブや窓を配置して重量を軽減しました。また、ドーム下部に16本の円柱を配して支えることで安定性を高めました。

サン・ピエトロ大聖堂のドームは、ミケランジェロの建築的な天才性と信仰心を示す作品です。このドームは教会内部に光と空間をもたらし、キリスト教徒に神への崇拝と感動を与えます。


ミケランジェロ・ブオナローティは、イタリア盛期ルネサンス期の彫刻家、画家、建築家、詩人として多方面にわたって活躍しました。彼は自らを「彫刻家」と呼びましたが、絵画や建築でも傑作を残しました。彼の作品は、人間の肉体や感情の表現において高い完成度と革新性を示し、後世の芸術家に多大な影響を与えました。彼は「神の手を持つ芸術家」と称され、ルネサンス三大巨匠の一人に数えられます。

ミケランジェロの作品は、イタリアやバチカンなどの美術館や教会で見ることができます。彼の作品を見ることで、ルネサンス時代の芸術と文化の精神を感じることができるでしょう。ミケランジェロは、人類史上最高の芸術家の一人として、今もなお私たちに感動と驚きを与えてくれます。

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