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カービング彫刻

2023.07.07 彫刻の基礎知識

カービング彫刻とは、木や石などの素材から形を掘り出していく彫刻の技法です。カービング彫刻は、素材の質感や特性を生かした立体造形の可能性を探ることができます。カービング彫刻には、木彫と石彫の二つの主な分野があります。それぞれに使用する道具や素材、制作の手順や注意点が異なります。この記事では、木彫と石彫の基本的な知識と技法を紹介します。

木彫 石彫

木彫

木は、カービング他の素材に比べて比較的扱いやすく、古代より様々な彫刻で仕様されてきた素材です。

日本でも、木彫によって制作された仏像が数多く見られます。木彫で使用される木材は、大きく分けて、広葉樹(こうようじゅ)針葉樹(しんようじゅ)の2種類あり、一般に、広葉樹は硬く、幹が曲がっていることが多く、さらに枝分かれしています。針葉樹は柔らかく、幹がまっすぐ伸びているのが特徴です。

カービング彫刻

木彫の道具

ノミ

木材を削るための道具で、刃先の形や大きさによって用途が異なります。平ノミは平らな面を削るのに使います。丸ノミは曲面を削るのに使います。角ノミは角や溝を削るのに使います。

彫刻刀

細部や仕上げに使う小型のノミです。

やすり

表面を滑らかにするために使います。

木彫の素材

木彫は、素材となる木の種類や木目によって表現が変わります。木彫に適した木には、広葉樹(こうようじゅ)針葉樹(しんようじゅ)などがあります。広葉樹(こうようじゅ)は硬くて重いため、細かい表現に向いています。針葉樹(しんようじゅ)は柔らかくて軽いため、大きな作品に向いています。

  • ヒノキ 日本の代表的な木材です。柔らかく、彫りやすく、香りがよいのが特徴です。

  • ケヤキ 硬くて丈夫な木材です。彫刻刀がよく通るので、細かい彫刻に向いています。

  • クスノキ 目が粗く、彫りにくく、色が茶色いのが特徴です。力強い彫刻に向いています。

  • カツラ 目が細かく、彫りやすく、色が白いのが特徴です。色彩彫刻に向いています。

  • イチョウ 目が細かく、彫りやすく、色の変化が美しい木材です。仏像彫刻や能面彫刻などによく使われます。

  • クリ 硬くて丈夫な木材です。彫刻刀がよく通るので、細かい彫刻に向いています。

  • サクラ 柔らかくて彫りやすい木材です。色が鮮やかなので、色彩彫刻に向いています。

  • ヒバ ヒノキに似た性質を持つ木材です。耐久性に優れているため、仏像彫刻などによく使われます。

  • オーク 硬くて丈夫な木材です。彫刻刀がよく通るので、細かい彫刻に向いています。

  • マホガニー 硬くて丈夫な木材です。色が美しく、光沢があります。そのため、彫刻や家具、楽器などによく使われます。

木彫の作り方

  1. 素材選び 作品の大きさやイメージに合った木材を選びます。 木材の状態や品質を確認します。 木目や(ふし)などの特徴を見て、作品の向きや位置を決めます。

  2. 下絵描き 木材に作品の輪郭を鉛筆で描きます。 正面から見た図と側面から見た図を描きます。 複雑な形状の場合は、模型や写真などを参考にします。

  3. 形削り ノミとハンマーで余分な部分を削り落とします。 作品全体のバランスや立体感を見ながら削ります。 削る方向は、木目に沿って逆目(さかめ)にならないようにします。 逆目(さかめ)とは、木目と逆方向に削ることで、木材が割れたり欠けたりすることです

  4. 細部彫り 彫刻刀やノミで細かい部分を彫ります。 表情や装飾などのディテールを作ります。 彫り方は、木目に対して斜めになるようにします。

  5. 仕上げ やすりで表面を滑らかにします。 細かい凹凸やキズを埋めたり削ったりします。 塗装や着色などの加工をします。

木彫の注意点

素材となる木の特性を理解する

木は乾燥や湿度などの環境によって変化します。収縮や反りなどを防ぐためには、適切な保管や管理が必要です。

木は生き物です。(ふし)や木目などの個性を活かすことが、作品の魅力につながります。

道具の使い方や安全性に注意する

道具は切れ味が良いことが大切です。切れ味が悪いと、力が入りすぎて木材を傷つけたり、自分を怪我したりする可能性があります。

道具は正しい使い方を覚えて、手入れをしっかり行います。ノミや彫刻刀は砥石で研ぎます。やすりは目詰まりしないように掃除します。

道具は安全に扱います。ノミや彫刻刀は自分から遠ざけて削ります。ハンマーはしっかり握って振ります。作業中は保護メガネや手袋などを着用します。


石彫

石は古代から建築の装飾として広く素材として扱われてきました。石のもつ独特な質感をそのまま活かした作品が多く見られます。「大理石」は他の石と比べ比較的やわらかく、光沢が出やすいため、素材の美しさや立体感を出しやすいという理由からルネサンス期に多く使われてきました。

カービング彫刻

石彫の道具

ノミ

石材を削るための道具で、刃先の形や大きさによって用途が異なります。平ノミは平らな面を削るのに使います。丸ノミは曲面を削るのに使います。角ノミは角や溝を削るのに使います。

ハンマー

ノミの頭を打って石を削るために使います。石頭(せっとう)と呼ばれる専用のハンマーがあります。

ドリル

石に穴を開けるために使います。電動ドリルや空気圧ドリルなどがあります。

グラインダー

石の表面を滑らかにするために使います。電動グラインダーや空気圧グラインダーなどがあります。

石彫の素材

  • 大理石 石灰岩が変成してできた石です。白色や淡い色が多く、美しい光沢があります。彫刻や建材などによく使われます。

  • 花崗岩(かこうがん) 火成岩の一種です。黒色や灰色が多く、非常に硬くて重いため、強靭な表現に向いています。彫刻や建築物などによく使われます。

  • 御影石(みかげいし) 花崗岩の一種です。黒色や灰色が多く比較的柔らかくて軽いため、細密な表現に向いています。墓石や建材などによく使われます。

  • トラバーチン 石灰岩が変成してできた石です。白色や淡い色が多く、美しい光沢があります。彫刻や建材などによく使われます。

  • 砂岩 砂粒が固まってできた石です。黄色や赤色が多く、柔らかく、彫りやすくなっています。彫刻や建材などによく使われます。

石彫の作り方

  1. 素材選び 作品の大きさやイメージに合った石材を選びます。 石材の状態や品質を確認します。 石材の色や模様などの特徴を見て、作品の向きや位置を決めます。

  2. 下絵描き 石材に作品の輪郭を鉛筆で描きます。 面から見た図と側面から見た図を描きます。 複雑な形状の場合は、模型や写真などを参考にします。

  3. 形削り ノミとハンマーで余分な部分を削り落とします。 作品全体のバランスや立体感を見ながら削ります。 削る方向は、石材の硬さや粒子に注意して決めます。 硬い部分や粗い部分は逆目(さかめ)にならないようにします。 逆目(さかめ)とは、硬さや粒子と逆方向に削ることで、石材が割れたり欠けたりすることです。

  4. 細部彫り ノミやドリルで細かい部分を彫ります。 表情や装飾などのディテールを作ります。 彫り方は、石材の硬さや粒子に対して斜めになるようにします。

  5. 仕上げ グラインダーややすりで表面を滑らかにします。 細かい凹凸やキズを埋めたり削ったりします。 塗装や着色などの加工をします。

石彫の注意点

素材となる石の特性を理解する

石は種類や産地によって硬さや色合いが異なります。素材として適した石を選ぶことが重要です。

石は天然の素材です。色や模様などの個性を活かすことが、作品の魅力につながります。

道具の使い方や安全性に注意する

道具は切れ味が良いことが大切です。切れ味が悪いと、力が入りすぎて石材を傷つけたり、自分を怪我したりする可能性があります。

道具は正しい使い方を覚えて、手入れをしっかり行います。ノミは砥石で研ぎます。グラインダーやドリルは目詰まりしないように掃除します。

道具は安全に扱います。ノミは自分から遠ざけて削ります。ハンマーはしっかり握って振ります。作業中は保護メガネや手袋などを着用します。

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