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彫刻とは

2023.07.02 彫刻の基礎知識
彫刻とは

彫刻とは

彫刻とは、石、木、鉄、銅、土といった伝統的な素材に加え、プラスチック(FRP等)やその他の多様な素材について、彫ったり、削ったり、鋳造したり、組み立てたりして、立体的な作品を制作する3次元の立体芸術です。

彫刻は、人類の歴史とともに発展してきた芸術であり、その定義や範囲は時代や文化によって変化してきました。その表現力は非常に高く、私たちに立体的な存在感、美しさや力強さ、しなやかさ、動き、迫力、感動を与えてくれる芸術です。

彫刻の歴史

彫刻の歴史とその役割は、人類の歴史と共に始まったと言えます。彫刻の歴史は非常に長く複雑ですが、ここでは大まかに時代区分して紹介します。

古代より彫刻は主にシンボルとして扱われてきました。人、動物などの形を現したもの、神を現したものなどが多く、これらは主に宗教的な偶像崇拝や魔除けのために作られていたと考えられています。

中世になると、宗教的なシンボルとして建築などの装飾のために制作されるようになり、高い芸術性を求めるようになります。

近代では、彫刻は芸術作品としての位置を確立し、様々な立体芸術の表現が模索されています。

彫刻の制作スタイルと種類

彫刻の制作スタイルは 「カービング」(削る)と「モデリング」(形成する)の2つに分類されます。

  1. モデリング:足したり引いたりして造形する「構築的」スタイル。
  2. カービング:既存の塊から引いて造形する「削減的」スタイル。

彫刻の種類は、その素材や技法によって、様々な分類が可能です。ここでは、彫刻の代表的な種類をいくつか紹介します。

  • 丸彫り土台を除いて他の壁面と接しない立体的な彫刻。360度全ての方向から見ることができる。

  • レリーフ(浮彫り)少なくとも部分的に背景面とくっついている平面的な彫刻。平面上の凹凸で立体を表現する。

  • 彫金オブジェ金属や宝石などを加工して作る小型の彫刻。装飾品やアクセサリーとしても用いられる。

モデリング

モデリングとは、粘土や石膏などの柔らかい素材を徐々に肉付けして形作っていく技法です。原型を他の素材に置き換える間接法と呼ばれます。モデリングは、その素材の柔らかさを利用して、自由に形を変化させることができます。そのため、写実的な表現から抽象的な表現まで、様々な表現が可能です。

モデリングのメリット

  • 素材が柔らかく、手で自由に形を変えられる。
  • 素材を足したり引いたりすることができる。
  • 使用した粘土を再利用することができる。
  • 硬いものを押し付けたりすることで、簡単にテクスチャがつけられる。

モデリングのデメリット

  • 素材が柔らかいため、形が崩れやすい。
  • 素材が乾燥したり崩れたりする可能性がある。
  • 原型を鋳造や焼成などで他の素材に転写する必要がある。

カービング

カービングとは、木や石などの既存の硬い塊から素材を彫り込んで形作っていく技法です。素材そのものを作品に仕上げる直接法と呼ばれます。カービングは、その素材の硬さを利用して、力強い表現や繊細な表現などを作ることができます。

カービングのメリット

  • 素材が硬いため、形崩れしにくい。
  • 原型を作る必要がなく、素材そのものに直接向き合うことができる。
  • 力強い表現や繊細な表現などが作りやすい。
  • 完成した作品が壊れにくい。

カービングのデメリット

  • 素材が硬く、専用の道具で切ったり削ったりする必要がある。
  • 素材が硬いため、彫り込むのに時間と労力を要する。
  • 素材を足したり戻したりすることができない。

彫刻は三次元の造形による視覚芸術であり、多様な素材や技法が用いられてきた歴史ある芸術分野です。その芸術性だけでなく、技術的な側面でも非常に高度な芸術です。

彫刻は、素材の特性や工具の使い方を熟知し、複雑な形状を正確に再現する必要があります。また、時間と労力をかけて制作される芸術でもあり、忍耐力と集中力が必要となります。

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