AI生成技術によるデジタルアート
2023.08.20 AIによるアート
技術の進化伴い、PCやタブレットを使ったデジタルアートを制作する人も増えています。
最近では、絵や映像などを生成するAIが登場し、デジタルアートの新たな制作スタイルとして注目を集めています。
そこで今回は、AIによる画像生成技術を用いたデジタルアートを作成する方法をまとめてみました。
2023年8月現在、AIを使って画像生成する方法は以下の2通りです。
WEBサービス
アメリカの研究チームが開発した画像生成AIサービス。非常に人気が高く、現在は有料のみとなっている。
イギリスのStablityAI社によって開発された画像生成AIを試すことができるWEBサービス。
ChatGPTで知られるopenAI社による画像生成AIサービス。言語モデルのChatGPTと連動して利用することが可能になる可能性が高い。
画像加工ソフトなどで知られるAdobeによる画像生成AIサービス。Adobeは正規版での著作権完全フォローを明言しており、商用利用が可能。
AIとデザイナー向けのプラットフォームで、GANなどの機械学習モデルを使って、画像、ビデオ、テキストなどのコンテンツを生成可能。
StablityAI社による技術を体験できるWEBサービス。画像の光源を変更することができる。
WEBページ、SNSなどの素材を手軽に作成できるWEBサービス。多くのテンプレートがあり初心者向け。
オーストラリアの会社が開発したAIによる画像生成AIサービス。プロンプトとネガティブプロンプトを入力して生成可能。
Stable Diffusion、DALL-E2を利用できるWEBサービス。多くのスタイルがあり画像から画像を生成することも可能。
WEB上でStable Diffusion webUIのほとんどの機能を使うことができる。LoRAを作成することが可能。
Stable Diffusionの最新モデルSDXLを試すことが可能。
2つの画像をアップロードして顔を交換することができるFace Swapが利用可能。
昨今のAIブームによって多くの画像生成WEBサービスが乱立していますが、基本的にはベースとなるAIは限定的で、同種のAIを利用したサービスと考えて良いと思います。
現状、これらはの画像生成WEBサービスは、一般的にプロンプトと呼ばれる英語での文字ベースの命令文に従って、本物の写真と見分けがつかないクオリティの画像を生成します。しかし、これらのほとんどは制限付きまたは有料で、作品の制作などで継続利用したい場合は、有料プランまたは課金をする必要があります。
PCにインストール
Adobeの画像加工ソフト「Photoshop」にAI(Firefly)が実装されたベータ版。写真の領域外をAIによって生成する「ジェネレーティブ塗りつぶし」の機能が話題となっている。体験版をインストールすることで一定期間無料で利用可能。
Adobe Photoshop (Beta)の導入方法Stable Diffusion webUI AUTOMATIC1111
イギリスのStablityAI社によるAI(Stable Diffusion)を、ブラウザ上で動作可能にしたUI。現在、画像生成AIツールとして最も拡張性の高いツールとして人気を集めている。このStable Diffusion webUIの導入にはGPU内蔵のPC環境が必要。
Stable Diffusion webUIの導入方法Stable Diffusionを、ブラウザ上で動作可能にしたクリエイティブエンジン。AUTOMATIC1111と同じような機能を持ち、UIが直観的となっている。Macでの利用も可能。導入にはGPU内蔵のPC環境が必要。
「写真が証拠になる時代は終わった」と言われるほど、リアルな画像を生成できると話題になったGANモデル。他人と顔を入れ替えたり、表情や角度、年齢や髪型など思い通りに生成することが可能。このStyleGANの導入にはGPU内蔵で高スペックのPCが必要。
生成例
以下はAIによって生成された画像です。

Midjourney
txt2img (by wowokurage.com)An underwater city at sunset, where towering structures made of pearlescent shells and colorful corals glow under the waning sunlight. Ethereal creatures, a mix of fish and mammal, float leisurely around, their bioluminescent bodies casting a warm glow on the translucent streets below.

Stable Diffusion
txt2imgrealistic, masterpiece, Ultra detailed, absurdres, exquisite, beautiful artwork, a woman, red dress, wide shot

DALL-E2
txt2img (by labs.openai.com)A synthwave style sunset above the reflecting water of the sea, digital art

Adobe Firefly (Beta)
txt2img and inpaintphotorealistic, highres, girl, white dress, forest and lake, birds, long hair8k, looking at viewer, upper body, detailed beautiful face, bloom
画像生成AIのメリット
- プロンプト次第で誰でも簡単に写真のような画像を生成できる
- 制作作業を丸投げできる上に制作時間も短縮できる
- モデルやLoRAを組み込むことで、多様性の高いタッチを表現できる
- 自分でLoRAを学習させることで、独創性の高い画像を生成できる
画像生成AIのデメリット
- プロンプト(命令文)が英語のみ
- テキストベースでは言語化できない表現が困難
- 思い通りの表現をさせるには試行回数を増やす必要があり、自分で描いたほうが早い
- PCで生成する場合の推奨スペックが高く、特にGPUが高価である
AIを使えば誰でも芸術を生み出せるか
AI生成技術の登場によりデジタルアートの制作は非常に簡易になりました。利用者が多く、モデルが多様化しているため、誰でも簡単に写真のような画像を生成可能という点においては最大の魅力です。
しかし、AIは人ではないため、感情や感性はありません。
見る人に感動を与える表現のパターンを学習し、それを組み合わせた結果を「誰でも想像できるありがちな表現」として出力しているに過ぎないため、どうしても独創性に欠ける似通った結果になってしまいます。
「芸術」の定義は人によって様々ですが、少なくとも「誰でも想像できるありがちな表現」は「芸術」ではないように思えます。
結論として、AIを利用して作品を制作する場合においても、その作品の質は、制作者の美術的な知識や感性などが強く影響すると言えます。このため、しっかりと知識や技術を学び、感性を磨くことが重要です。