日記・エッセイ・コラム2008.05.01

百花の王

牡丹の別名は百花の王。他にも「富貴草」「深見草」「二十日草」「ダリア(洋名)」など数多くの別名を持ちます。これはとりわけ華やかな花として昔から多くの人に愛されてきたことを意味するのではないでしょうか。また世界に名だたる有名な詩人達もこの牡丹に魅せられ、沢山の詩を読んでいます。
牡丹散ってうちかさなりぬ二三片
                                     蕪村
君と見て 一期の別れ する時も ダリアは赤し ダリアは赤し                               北原白秋
「深見草」と呼ばれていた昔、和歌では思う心や嘆きが深まるという意味をかけて使われていそうです。
また、「二十日草」と呼ばれるのは、牡丹が咲いていられるのは二十日ばかりだからだそう。このわずか二十日余りのうちに、麗しい牡丹が蕾をつけ、華麗に咲き誇り、また散ってゆく。その姿に、人は様々な想いを重ね歌にしたのでしょう。
花の美しさは様々ですが、散り方も様々。椿は首からぼっとと落ち、桜はヒラヒラと舞い散る。そしてこの牡丹は燃え崩れ地面に打ち重なって息絶える。妖艶な最期です。
まるで恋心のようですね。

2008 05