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日記・エッセイ・コラム2008.06.12
五月雨
昨日、岡山でもようやく梅雨入りをしました。 平年より5日遅い梅雨入り。さほど本降りではありませんでしたが、シトシトと降り続く雨は、静かに草花を濡らしていました。 中でも紫陽花は雨がとてもよく似合う花ですね。 紫陽花の花には隠れたラブストーリーがあるのをご存知でしょうか? 1835年、植物学者シーボルトが「日本植物記」に発表したのが紫陽花。学名を“Otaksa”といいます。 彼は日本にやってきて、日本固有の植物、とりわけ紫陽花に深い関心をもったそうです。そんな彼が日本の生活の中で愛しつづけた女性がいました。 その最愛の女性の名は「楠本 滝」。外国人であるシーボルトは「お滝」と発音できず、なまって「おたくさ」と呼んでいたそうです。2人は幸せに暮らしていましたが、ある日シーボルトは国外追放されてしまいます。日本に深い関心を寄せていたシーボルトはあらゆるものを収集し、ヨーロッパで紹介しようと考えていました。 しかしその中には国防上ご禁制の品も含まれており、スパイと見なされてしまったからです。 遠く離れ、2度と会うことの出来ない彼女を想い、シーボルトは最愛の女性の名を紫陽花に託しました。 そこには国に引き裂かれても、決して消えることの無い熱い思いが込められています。ロマンティックですね。 雨に濡れた紫陽花は実に艶っぽい。カラット晴れた日の紫陽花は透き通る様に美しい。曇り空にはそっと淑やかに華を添える。様々な顔を持つ紫陽花にシーボルトの隠れたラブストーリーが神秘さを増します。これが人々に愛され続ける紫陽花の所以かもしれませんね。 これから雨が降り続く梅雨の季節、あなたは何を想いますか?
2008 06
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